本社オフィス移転を機に、企業姿勢を社内外へ発信する

システムインテグレーション事業を展開する三井情報株式会社は、2025年12月のコーポレートロゴ刷新に続き、2026年2月に流行の発信地である表参道へ本社を移転しました。東京にあった3つの拠点を集約し、新しいオフィスでともに成長していく出発点となるこの節目は、同社にとって極めて重要な意味を持っています。

従来キャッチコピーとして掲げていた「ナレッジでつなぐ、未来をつくる」をパーパスとして改めて位置付け、その企業姿勢を社内外へ発信し、社員の理解や共感を深める絶好の機会だと捉えたのです。この重要な局面において、インナーブランディングのさらなる強化を目指したプロジェクトが始動しました。三井情報の世良真理氏は、当時の狙いをこう語ります。

「コーポレートロゴの刷新とオフィス移転という大きな2つの変化が重なるこの機を逃さず、しかもその直後には、第八次中期経営計画の始動という重要な節目も控えていました。ロゴ刷新、移転、新中計という複数の変化が重なるタイミングだからこそ、企業姿勢を発信したいと考えました。そこで、長年伴走してくれている揚羽さんの支援を受け、移転イベントと広告出稿を計画しました」(世良氏)。

三井情報株式会社
CSO統括本部
チーフマネージャー
世良真理氏

移転当日に大規模なイベントを開催することに対しては、社内から懸念の声も上がりました。引っ越し作業で慌ただしい中での実施は困難だという意見がある一方で、初日に社員が集うことで得られるインパクトの大きさを重視し、各部署との調整を経て移転当日の開催へと踏み切ったのです。

「Hello, New MKI!」を掲げて、移転イベントを実施

移転イベントの企画にあたっては、様々なアイデアが出されます。しかし最終的には、新オフィスがコラボレーションの場となることを見据え、社員同士が互いの事業を知り、理解を深め合うためのコンテンツに決定しました。

2月16日の移転当日、「Hello, New MKI!」をコンセプトに掲げたイベントがスタート。午前中は新本社のオープニングセレモニーを実施し、施工関係者も招いて新たな門出を祝います。セレモニー内では社長と社員代表による未来を語るトークショーも行われ、これら一連のプログラムはすべてライブ配信されて多くの社員に視聴されました。

午後からは、2階から4階までの3フロアを使用し、揚羽が企画した多彩なコンテンツを展開。その内容について、揚羽の小林夏帆は次のように説明します。「2階エントランスには社員参加型のアートを設け、皆さんの思いを書いたメッセージを集めてグラフィックエレメントを作り上げました。また、オフィスを巡ってもらうための謎解きツアーや、先進的な取り組みを紹介するポスターセッション、表参道のスイーツを楽しむ企画なども実施しました」(小林)。

株式会社揚羽
ブランドコンサルティング部
コミュニケーションプランナー/イベントプロデューサー
小林夏帆

夜の社員交流パーティーでは、本格的なシステムを導入したクイズ大会が催されました。参加者が自身のスマートフォンから直接解答を送信する形式で、三井情報ならではの独自のクイズが多数出題され、正解が発表されるたびに会場は大きな歓声に包まれます。社員からは「まるでテレビ番組のようだ」といった驚きの声も聞かれ、想定以上の熱気に包まれた会場では、組織や世代を越えた交流が自然と生まれていました。

部署を越えた理解と交流を促す、参加型コンテンツを展開

今回のイベントで特に重視されたのが、社員を“参加者”ではなく“つくり手”として巻き込むことです。三井情報では以前から、ワークショップなどを通じて社員参加型の施策を積み重ねてきました。その延長線上に、今回のイベントも位置づけられています。

「今回の一番大事なポイントは、社員が参加することでした。ただ上から与えられたイベントではなく、自分たちで感じ、自分たちでつくっていく場にしたかったのです。その意味で、参加型アートやオフィスを巡る企画は、とても重要な仕掛けになったのではないでしょうか」と三井情報の世良氏は話します。

中でも特に好評だったのが、社内展示会のようなポスターセッションでした。部署や拠点が分かれていると、同じ会社でありながら、互いの仕事の実態を十分に知らないままになりがちです。そこで、先進的なプロジェクトを紹介し合う場を設けることで、「隣の島が何をしているのか分からない」という課題の解消も狙いました。

「実際に足を運んでみると、名前は知っていても中身を理解していなかったソリューションがたくさんありました。なるほど、こういうことをやっているのかと理解が深まりましたし、意外と知らないことが多かったのだと気づかされました」と三井情報の宮浦正幸氏は明かします。

三井情報株式会社
CSO統括本部 経営戦略企画部
広報・ブランディング推進室 室長
宮浦正幸氏

社員参加型アートも、イベント後の効果を残す象徴的な施策になりました。現在も2階入口に展示されており、来訪者との会話のきっかけになっているほか、社員が立ち止まって見返す存在にもなっています。イベント当日だけで終わらない“記憶の装置”として機能しているのです。

「パーパスを体現したイベントを象徴するものとして、社員参加型アートを作成したので、その後も活用していただいていることは本当にうれしいですね。イベントの価値が、その日だけで終わっていない証しではないでしょうか」と揚羽の板倉マサアキは振り返ります。

株式会社揚羽
ブランドコンサルティング部
シニアコンサルタント/クリエイティブディレクター
板倉マサアキ

社会への発信を通じて社員の心を動かし、誇りを育む

この取り組みのもう一つの柱が、広告展開です。移転当日の2026年2月16日に、日本経済新聞朝刊に「一生、あたらしい仕事を。」というコピーを掲げた15段広告を掲載。さらに4月1日からは、同じメッセージを表参道駅の構内広告として掲出しました。

一見すると対外向けの施策に見えますが、三井情報が重視していたのは、むしろ社員への効果でした。企業として本気で変わろうとしていることを、社内だけでなく、社会に向けても宣言する――。その姿勢を社員が目にすることで、自らの仕事や所属に対する誇りを高めてもらいたいという狙いがあったのです。

「今回の広告は、社員の意識を大きく変える一歩にしたいと考えて企画しました。そこで揚羽さんにお願いしたのは、社員の気持ちに届き、心を震わすメッセージです。出来上がったコピーは力強く、経営のメッセージを伝えるとともに、社員が誇りに感じられる内容になったと思います」(宮浦氏)。

また、新聞広告は社員本人だけでなく、その家族や親族にも届きました。全国どこでも購入できる媒体だからこそ、遠方に住む家族に「見てほしい」と伝えた社員もいたといいます。自分が働く会社の存在が、家庭の会話の中に立ち上がることもまた、インナーブランディングの一部だったと言えるでしょう。

「日経新聞なら全国どこでも購入できるので、遠方に住む親族に声をかけて読んでもらった社員もいます。自分が働いている会社を認知してもらえるので、社員のモチベーション向上にもつながったはずです」と三井情報の神野洋介氏は説明します。

三井情報株式会社
CSO統括本部 経営戦略企画部
広報・ブランディング推進室 マネージャー
神野洋介氏

生まれた熱量を、パーパスの“体現フェーズ”へつなぐ

今回のイベントと広告施策を通じて、同社が強く実感したのは、社員が実際に集まることで生まれる熱量の大きさでした。オンラインでは見えづらかった会社のエネルギーが、一日を通じて可視化されたからです。経営層からも、社員同士の活発な交流や組織の活気を実感する声が上がったといいます。

「社員が集まることで起きる熱量の大きさは、私自身もかなり感じることができました。今はパーパスを浸透させ、理解してもらい、共感してもらう段階ですが、次は社員一人ひとりが体現するステージに持っていきたいと考えています」(神野氏)。

同社がその先に見据えるのは、パーパスを掲げるだけに留まらず、それを自らの意志で体現する社員が主役となる状態です。今後は、パーパスを体現する社員がスポットライトを浴びるイベントなども視野に入れ、さらなるインナーブランディングの深耕を図ります。

ブランドの世界観をロゴ、オフィス、広告、そして「社員の行動」へと連鎖させていくプロセスは、まさに三井情報が描く変革のロードマップでした。パーパスを起点にして、中期経営計画で示した「残すに値する未来」をともにつくる挑戦は、ここからさらに熱を帯び、本格的な実践フェーズへと進んでいくでしょう。

三井情報株式会社 支援実績【ロゴ刷新編】「パーパス起点のロゴ刷新で、社員の共感と組織の一体感を生む」はコチラ